名詞
新思考
新たな政治的思考(新思考)(あらたなせいじてきしこう、しんしこう、Новое политическое мышление, новое мышление)とは、ソ連における改革政策の一環としてミハイル・ゴルバチョフ(Михаил Горбачев)が提唱した教義である。資本主義と共産主義の間の、和解不能な対立というマルクス・レーニン主義の概念ではなく、地球規模の問題を解決するための共通の道徳的および倫理的原則に基づいた外交政策を追求したゴルバチョフの標語であった。1987年、ゴルバチョフは「Перестройка и новое политическое мышление」(「ペレストロイカと新たな政治的思考」)と題した著書を出版した。1988年12月7日、ミハイル・ゴルバチョフはニューヨークを訪問し、第43回連合国総会で演説を行い、ソ連の最近の変化について語ったのち、東ヨーロッパおよび中国との国境沿いに駐留しているソ連軍を大幅に削減する趣旨を発表した。1985年3月にソ連共産党書記長に就任したミハイル・ゴルバチョフは、従来のソ連の指導者とは異なっていた。彼はモスクワ大学を卒業し、キリスト教徒の家庭で育ち、ヨシフ・スターリン(Иосиф Сталин)の死後に成人を迎えた。粛清の忘れられない記憶に悩まされたり、厳格なマルクス・レーニン主義の思想を教え込まれてはいない。ゴルバチョフの世代は、その前任者よりも西側にはるかに精通しており、増えつつある高学歴の専門家階級は、生活水準を向上させ、ソ連の困難な経済状況に対処できるようにするための改革政策を要求した。1980年代半ばの時点で、ソ連経済は深刻な課題に直面していた。長年にわたる集中統制が経済の停滞をもたらし、ソ連経済はアメリカの軍備の増強に対抗しようとして緊張状態にあった。1986年に開催された第27回党大会の場で、ゴルバチョフは2つの提言を発表した。1つ目は経済の完全な再構築である「ペレストロイカ」(Перестройка)、2つ目は「グラースノスチ」(Гласность)であった。前者は農業と産業の民営化、利益刺激の用意、価格設定と国内取引の管理のための市場経済制度への道を開くことになった。ゴルバチョフの提言に対し、ソ連国民は温かく受け入れたが、ソ連共産党指導部はこの変化に疑問を抱き続けた。ゴルバチョフの「新思考」は、ソ連の外交政策にも影響を及ぼした。経済改革を継続し、ペレストロイカとグラースノスチを実施するにあたり、ソ連は超大国間の冷戦競争を減速させようとして多大な費用をかけた。
(出典: 新思考 - Wikipedia)